ギルド創設の話をしましょうか
タルシスに2人組の男女が現れた。どうやら彼らは冒険者を目指しているようだ
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| 着いたわよクロム!すごく綺麗な町ね! | |
| やっと着いたのか。マリア、僕らは観光に来たわけじゃないんだ。はやくどこかのギルドに入れてもらえないか交渉するんだ。 | |
| なんでそんな命令口調なのよ……まぁいいけど。 |
こうして冒険者ギルドへと足を運ぶクロムをマリア。そんな中一人の女の子が声をかけてきた。
| あの……もしかして冒険者さんですか? | |
| ん?そうだけど、何か用ですか? | |
| ギルドに入れてもらえませんか!? | |
| ええ!?また急ね。そんなこと言われても…私達も今ギルドを探しているところで。 | |
| そうですか……。 | |
| じゃあ、僕らがギルドを作ればいいだろう。 | |
| そんな……うーん、でもそれが一番かしら。それにしては人数がぜんぜん足りないのだけど。 | |
| 僕の知っている人の中には3人で迷宮に挑む奴もいたが。 | |
| それとこれとは話が違うと思うの。せめて壁役とか回復役とか……これじゃあバランスが悪すぎよ。 | |
| そうか、まぁいい。じゃあ探せばいいだろう。 | |
| ええと、結局私は参加させてもらえるんですか? | |
| もちろんよ!あなた名前は? | |
| ありがとうございます!私はナノカ、職業はスナイパー。 | |
| 私はマリアよ。ダンサーをやっているわ。こっちはナイトシーカーのクロムよ。 | |
| ……よろしく。じゃあ、僕は他のメンバーを探しに行ってくる。 | |
| あっ、ちょっと!……ま、いいか。よろしくね、ナノカ! | |
| こちらこそよろしくお願いします、マリアさん。ところで、クロムさんはいつもああいう感じなんですか? | |
| そうよ。あんまり気にしないでね。 | |
| わかりました。とにかく私達のほうでも一人くらいはメンバーを探したいところですね。 | |
| うん。そうだけどとりあえずナノカ、あなた私達と一緒くらいの歳なんだから、敬語はやめたら? | |
| ん……そうか。じゃあやめる。 | |
| うん!それじゃ、行きましょうか! |
一方クロムの方では
| (マリアはああ言ってたがナノカがスナイパーならば属性攻撃の方がよっぽど重要だ……)っと、すいません。 | |
| こちらこそ、ぶつかってしまってごめんなさい。怪我はないですか? | |
| ああ。(あれ?こいつもしかして) | |
| ええと……どうかされましたか? | |
| ギルドを作るのですが、良ければ参加していただけませんか? | |
| ……そうですね。ぜひ、と言いたいところなのですが、家の方が許してくれないもので……。 | |
| (困ったな…どうするか) | |
| そういうわけで、すみません。 | |
| ちょっとまってくれ、説得する気はないのか。 | |
| 説得なら何度もしているのですが、駄目みたいで。 | |
| じゃあ、僕が行ってもいいか? | |
| いいですけど……きっと無理ですよ? | |
| 行く価値はあるだろう。僕はクロムだ。君は? | |
| ユーリといいます。ええと。本当に行くんですか? | |
| 行く。 | |
| …わかりました。案内します。こっちです。 |
そしてマリアとナノカは
| ……ふぅ。何てこと、一人も仲間になってくれないなんて……。 | |
| やっぱり私達が若すぎて良くないのか? | |
| どういうことよそれ。 | |
| 私がマリアさん達に声をかける前までは、ギルドメンバー募集の張り紙を見つけては手当たり次第に売り込みをしていたんだよ。 でも、どのギルドでも『若い、女だし、弱そう』なんて理由で断られ続けてきた。 | |
| 何よそれ!ひどい話ね。 | |
| いや今全く同じ状況なのだが……? | |
| おねーさん! | |
| !? | |
| !? | |
| なんでそんな顔してんの?美人が勿体ねえよ! | |
| なんだこいつ……。 | |
| ええと…ギルドを作ったのにメンバーが集まらないのよ。 | |
| そんな理由で悲しんでたのかよ…仕方ねえな、俺が入ってやるよ。 | |
| マリアさん、これは新手のナンパだ。早く逃げよう。 | |
| えっなんでそんなこと言うの君。ていうかマリアっていうんだな、よろしく。 | |
| あ、うん。よろしく……? | |
| マリアさん! | |
| この人きっとメディックだわ。必要な人材よ……。 | |
| 何言ってるんだ……。 | |
| おっマリアちゃん目敏いね!正解だ!俺はメディックのエイゴ、よろしく。 | |
| メディックならわざわざこんなギルドに入る必要はないじゃないか……もっといいところに呼ばれているんじゃないのか? | |
| いやー呼ばれてるけどさ、可愛い女の子が一人も居なくてな……。 ムサい男だらけのパーティで迷宮探索なんかできるかよ……。 | |
| ……。 | |
| ……。 | |
| で、君の名前は? | |
| ……ナノカ。 | |
| よろしくな!ナノカちゃん! |
そして夜になった
| クロムさんは一体どこ行ったんだ。 | |
| さぁ?私にはさっぱりわからないわ。 | |
| クロムって誰だよ? | |
| 少ししたら分かるわよ。とりあえず宿に居れば会えると思ったんだけど……。 | |
| ただいま。 | |
| 噂をすれば。おかえり!ええと、そちらの方は? | |
| 初めまして。ルーンマスターのユーリと申します。 | |
| ルーンマスタなのね!ユーリ、よろしく。私はマリアよ。 | |
| ナノカだ。よろしく。 | |
| 俺はメディックのエイゴだ。 | |
| そっちの人も合わせて、これで5人揃ったのか。 | |
| そうね、とりあえずは。 | |
| マリアちゃん、もしかしてそいつがクロム? | |
| そ。っていうかそいつとか言わないでくれる? | |
| あ、ごめん……。 | |
| 揃ったなら申請をしてこなければ。 | |
| 今からギルド立ち上げるんですね……。 | |
| とりあえずギルド名決めようぜギルド名! | |
| それについてはもう考えてあるわ。「ファレノプシス」、どうかしら? | |
| 確かマリアの好きな花はデンファレだったな……そこからか? | |
| そうよ。可愛いでしょう? | |
| 花には詳しくなくてなあ……でも、いいと思う。 | |
| 私は何でもいいですよ | |
| マリアちゃんお花好きなんだ!いいねぇ〜女の子ってカンジするわ! | |
| (……なんなんだこいつ) | |
| じゃあクロム、これでいいかしら? | |
| なぜ僕に聞く。 | |
| だってギルドマスターはクロムでしょ? | |
| いつそんな話になったんだ。 | |
| 私はクロムさんがリーダーだとばかり。 | |
| ほら、ナノカも言ってるじゃない。ね? | |
| わかった。ファレノプシス、だな。早速登録に行こう。 | |
| クロムさん、もう夜なので明日にしませんか? | |
| そうか、そうだな。 | |
| じゃあ明日行くということで今日は解散ね!明日からみんなで頑張ろう! |
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