after09:世界が広がる話
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| へぇ……ウロビトがタルシスに来てるのね。 | |
| いいですね。迷宮探索の先で出会った種族と交流なんて。 | |
| 辺境伯と巫女のおかげだな。 | |
| 見かけたら親切に、か。女の子ならどんと来い!! | |
| (こいつ口説く気か……。) | |
| あ、あの……。 | |
| なん……ああエイゴ、ちょっとあっち向いてろ。 | |
| なんだかよくわからないけど了解。 | |
| ああすまない。どうかしましたか? | |
| 酒場…孔雀亭の入口にあったギルドメンバー募集の張り紙を見て…… そのギルドのメンバーを探しているのですが、ええと……タルシスは初めてで、迷子になってしまって……。 | |
| ………あ!そのギルド!私たちのところよ!ようこそ!よく見つけてくれたわね! | |
| そうなんですか……!見つかって良かったです。 | |
| 女の子!? | |
| だからあっち向いてろって。 | |
| (……誰だ、孔雀亭でメンバー集めなんてしてたのは。) | |
| (私じゃないぞ!) | |
| (少なくとも私ではありません。となると酒場へいつも通っているのは…?) | |
| (メンバー集め?俺はやってねえからな。) | |
| (まさかマリアか?) | |
| (私だってメンバー募集なんてしてないわよ。第一もう揃っているわけだし。 | |
| ん?どういうことだ? | |
| (でもね…この子、タルシスは初めてでこの容姿…つまりミスティックよ。) | |
| (なるほどな。……いやいや、マリアちゃんなかなか狡いことするな?) | |
| あなた、名前はなんていうの? | |
| え……っと、キサラ、です。 | |
| 私はマリアよ。とりあえず少し一緒に迷宮に行ってみない? |
| どうしてこうなったんだ | |
| それにしてもよくミスティックだってわかるな。エイゴのときもそうだったけど。 | |
| 半分くらい勘だけどね。 | |
| でも大丈夫なんですかこれ。 キサラさんが探していたギルドは絶対に私たちの所じゃないですよ。まずいんじゃないですか。 | |
| だって誰かさんがミスティックがギルドにいるといいって言ったから……。 | |
| ……俺のことか! | |
| 間違いなく力になるとは思うのですが……。 | |
| ……あの、少しいいですか? | |
| うおっ、なんだなんだ、どうした。 | |
| フォートレスの方はどちらに行かれているんですか……? きっと一番お世話になるので挨拶がしたいのですが……。 | |
| (おい、フォートレスなんていないぞ。さっそくボロが。) | |
| (うう……やっぱり騙しておくのは難しいのね……。) | |
| (ええ……。) | |
| えっと、フォートレスは今いないの。しばらくしたら帰ってくると思うけど…………ね、クロム。 | |
| あ、あぁ、そうだな。 | |
| そうですか……残念です。 | |
| とにかく迷宮に行きましょ!私たちとキサラの初めての探索よ! |
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| 大丈夫か? | |
| ……はい……なんとか。 | |
| 俺のリザレクトが火を吹くぜ。 | |
| エイゴさんがいなかったら大変でしたね。 | |
| ……。 |
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| (なんだろう俺の知ってるミスティックと違う……。) | |
| (ウーファンさんと比較されるのも酷な話ですが。) | |
| ……私薄々気がついていたんですけど……あなたたちは、私の探していたギルドではないのですか? | |
| …………そうだ。 | |
| そんなあっさり認めていいのか。 | |
| マリアもいないし別にいいだろう。だいたいここのリーダーは僕だからな。 | |
| あなたたち、一体何なんですか…?ファレノプシス、って巫女様を助けたギルドみたいですが…… 私を騙してパーティに入れた挙句、私が倒れるたびにそんな顔をして。 | |
| そんなことは、 | |
| 私言ったじゃないですか。フォートレスの方に一番お世話になるって。 なのに勝手に期待して勝手に落胆して、私がウーファンさんみたいに強いわけないじゃないですか。 | |
| そういうことだったのか。つまり守ってもらわないと何もできないと。 | |
| 解ってるじゃないですか。そういうことです。だから早く解放してください。 | |
| ……確かに過度な期待だったかもしれないな。 | |
| 僕は初めから期待なんかしていなかった。 | |
| じゃあ何なんですか?馬鹿にしているんですか? | |
| あ……っとそういうわけじゃないんだ。僕は純粋にミスティックがギルドに欲しかっただけで、 | |
| わざわざ私じゃなくてもいいですよね。 他にも腕のいいミスティックはいますし、ウーファンさんもいるじゃないですか。 | |
| 最初は僕もそう思っていた。でもお前は守って貰わなくても戦える気がした。だからこうして、 | |
| 私の何が分かるって言うんですか!? | |
| タルシスに来たことのあるウロビトなんてまだ数少ない。 なのにお前は一人でウロビトの里からタルシスまで出てきて、入れてくれるギルドを探していただろう。 何か思うことがあっての行動じゃないのか? | |
| …………だから何だって言うんですか。 | |
| 僕たちのギルドが一番だと思わないか?ウーファンとも共に戦ったことがあるし、迷宮探索においてもここが最前線だ。 お前がもし不安だと言うなら、ファレノプシスがお前を全力で支えよう。 | |
| ウーファンさんだって一人じゃホロウクイーンに勝てなかっただろうしな。それと似たようなものだ。 | |
| でもそんなの……迷惑がかかるだけです。 | |
| さてはキサラちゃんは何で俺が毎回リザレクトしたか分かってねーんだな? | |
| そこは戦略次第、ですよ。 | |
| フォートレスはいないが、僕やマリアは敵を引き付けることができるしナノカは妨害ができる。 ユーリも属性ダメージの軽減ができるしエイゴは傷ついても手当てができる。これでも不満か? | |
| ……そんなこと、ないです。 | |
| じゃあ改めて、僕たちと一緒に世界樹を目指さないか? | |
| ……少し考えさせてください。 | |
| そうですね。今すぐ決める必要はありませんからね。 | |
| まぁ帰って考えればいいんじゃないか? | |
| 里まで送っていくか!いいだろ! | |
| それこそ一人で帰る方が危なそうだしな。行こう。 | |
| ……はい。 |
| あら、おかえり。早かったわね……って、キサラは? | |
| 里に帰した。 | |
| ……もしかしてバレた? | |
| バレたも何も、クロムさんが全部言いましたよ。 | |
| ……それはだな、えっと。そもそも言い出しっぺのマリアが一緒にいないのが悪い。 | |
| た、確かに。 | |
| それはそうだけど!いいのよ、どうせバラしちゃうと思ってたし。 | |
| さすがマリアちゃん、わかってるなぁ。 | |
| もし今後あいつがタルシスに来なくなったら、それは僕の責任だな……。 | |
| 一体何を言ったのよ。 | |
| そんなに変な事は言っていなかった気がしますが……? | |
| 多少恥ずかしいことは言ったかもしれないけどな。 | |
| 私もそーっとついていけばよかったかしら。 | |
| 終わったことだからもういいだろう…? | |
| ってかもう夜じゃねえか、解散解散!明日のことはまた明日な! |
次の日
| ……キサラ、来ないわね。 | |
| (やっぱり言い過ぎたか……。) | |
| 今日はこれ以上待っていられませんね。出発しましょう。 | |
| ま、待ってください!! | |
| っと、来たな。 | |
| 昨日言ったこと、全部撤回します……!私は支えてくれるっていってくれた皆さんと一緒に冒険に出たいです……! だからファレノプシスに入れてくだ、 | |
| わかったわかった。そんなこと言ってる暇があったら行くぞ? | |
| …!はい! | |
| 言っておくが5人しか気球に乗れないからな。今回は乗るのが遅かったエイゴが休みでいいよな。 | |
| おう……まぁいいよそれで。じゃ、キサラちゃん、いってらっしゃい! | |
| あっ……すみません……。 | |
| 別に何とも思わないから謝るなって。 | |
| ええと……じゃあ、ありがとうございます | |
| それではエイゴさん、いってきます。 | |
| おう!いってらっしゃい! |
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2013.03.12.
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