狙われナイトシーカー
| 困ったな……。 | |
| どうしたんですか? | |
| どうやら武器、防具、アイテムまで、全て僕たちが売ったアイテムの数分しか買えないみたいだ。 | |
| なるほど……つまり全員の装備を常に最良の状態にしておくのは難しいと。 | |
| そうなるな。 5人分そろえるのは少し骨が折れる。地道に集めていくしかなさそうだ。 |
| おっ遅かったな! | |
| みなさんすみません。少し手間取ってしまいました。 | |
| いや気にしてない。それよりも、気球艇の名前をどうすればいい? | |
| ギルド名がファレノプシスだからデンドロビウムでいいだろう。 | |
| 何かそういうのいいわね。いかにも私たちのギルドの気球艇って感じがするわ! | |
| じゃあこれで決定だな。 | |
| よし、いざ空へ! |
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| ここにもモンスターがいるのね。 | |
| でも空中に急に飛び出してくるようなやつはいなそうだ。一安心。 | |
| 見えているモンスターの動きを観察してなるべく避けて進もう。きっとまだ僕たちでは戦えない。 | |
| ここから少し離れていますけど、他のギルドの気球艇もありますね。 | |
| 接触してみるか。 |
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| なるほど、探し物か。 | |
| ブラックタウルス……?それって道中の狩りで手に入れたこの肉のことかしら。 クロム、どうする? | |
| 彼女、困っているんだろう。渡そう。 |
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| お礼にアクセサリーをくれだぞ。 | |
| ありがたいですね。 | |
| アクセサリーは防御が上がらないから普段の探索で使うのは向いてないし、買うのも勿体ないと思っていたところだ。かなり助かる。 |
| 北には山しかないんだな、つまんねえ。 | |
| でも谷があるわ。ここから抜けられそう。 | |
| しかしこの雲では通り抜けるのは困難ですね。 |
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| この石碑は何だ?窪みがある。 | |
| 分からない。とりあえず迷宮がすぐそこに見えているから、そっちの探索に行こう。 | |
| ちょっとまって。 | |
| 何だ? | |
| 迷宮の入口にも谷にあったものと同じ石碑があるわ。 |
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| どういうことでしょう……? | |
| あの谷とこの迷宮は何か繋がりがあるっていうのかよ? | |
| その可能性があるな。とにかく迷宮に入って確認してみよう。 |
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| あれは何だ? | |
| あれは樹海磁軸ってやつだな。? 街と樹海を行き来できる場所だ。 | |
| へえ、迷宮には面白いものがあるんだな。 | |
| これは帰りにでも使ってみることにして、奥へ行ってみよう。 |
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| 木が倒れていて先へ進めないわね。 | |
| 甘い匂いがするな。この木からか。 | |
| 匂いにつられてモンスターが寄ってくるかもしれない。ここを離れよう。 | |
| そういえば反対側にも道がありました。先にそちらへ行ってみましょう。 |
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| こいつ、可愛い見た目のくせになかなかえげつないな! | |
| クロム倒れちゃったじゃない! | |
| 先ほどのダメージが62だったので、あの攻撃を食らって無事な人は今のところいませんね。 | |
| 瀕死じゃ俺の回復も使えねえしな。なかなか厄介だ。 | |
| クロムさん抜きじゃちょっとしんどそうだ。 一旦宿に帰るしかないな。 |
| さっきは情けないところを見せたな。 | |
| そんなことはない。 | |
| 前衛なのに防具がしっかりしていないのは危険ですね。 | |
| どういうことだよ。 | |
| 在庫です。防具が4つしかなかったのでクロムさんは一人だけ初期装備だったんです。 | |
| 何してるのよ……危ないんだからね! | |
| すまない。 | |
| なるほどそういうことな。 後衛に比べて前衛の方が受けるダメージが大きくなりがちだ。今後は気を付けようぜ。 |
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| よく見るといろんなところに木が倒れているな。 | |
| こんな木さえなければもっと自由に探索できたんだろうになぁ… | |
| あっあそこ、木くずが散らばってるわ。何かあったのかしら? | |
| 待て。あいつは何だ。 | |
| 俺に聞かれてもな。……!? |
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| どうしたのですか? | |
| あの熊……木を壊した。 | |
| あいつ追いかけてくるぞ。前に小迷宮で出会った奴とは違う。 まずい、逃げるぞ。 |
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| また壊してるじゃない! | |
| ……そうか。あれを利用するんだ。 | |
| どういうことだ? | |
| 奴は僕たちを追いかけてくるから誘導して道を開けさせよう。 | |
| なるほど!それいいな! | |
| とは言え奴との距離がほとんどありません。 下手に戦闘に時間をかけると乱入される可能性がありますよ。 | |
| 余裕はないってことか。でもやってみるしかない。 |
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| このタイミングで新しい敵か! | |
| 逃げるしかないな | |
| ちょっと!またクロム倒れてるわよ! | |
| 俺が連れて行くから!早く逃げるぞ! |
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| ここ、行き止まりですよ……どうするんですか。 | |
| 戦うしかないのかよ!?しかもクロム抜きで! | |
| 待ってくれ。……こっちだ。ここにあの花が咲いているぞ。 | |
| あの隠し通路ってこと?もしかして、細い道なら……熊は通れない? | |
| かも知れない。ここで戦っても勝ち目はなさそうだから、行ってみよう。 |
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| ッッッセーフ! | |
| でもクロムさんがまた瀕死です。早く帰りましょう。 | |
| でもここ磁軸からかなり離れちゃってるわ。 | |
| 鞄にアリアドネの糸が入っている。これでタルシスまで戻れるみたいだ。 | |
| クロムすげえな。 アリアドネの糸なんて普通は冒険者からしたら必須ものだけど、クロムって経験者でもないんだし、そんなの知らなかったはずだろ? | |
| 自分の防具を差し置いて帰還用アイテムを買っていたんだなクロムさん……。 | |
| いえ、あくまで防具が買えなかったのは素材が足りなかったからであって、アリアドネの糸は大量に売られていましたのでその差かと……。 |
| また僕は……。 | |
| お前狙われやすいんじゃねーの?なんか悪いことでもしたのか? | |
| そんなことはない……と思いたいが。 |
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| あそこから下へ行けるみたいね | |
| 足音がするな……誰だ? |
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| ワールウィンド……その担いでいる男は何だ? |
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| ワールウィンドが救助してくれたのか。 | |
| タルシスの兵士がやられる程度の強さの魔物……この先は危険ですかね。 | |
| 全冒険者に影響が出そうだ。ミッションが発令されてもおかしくないな。 | |
| そうだな。とにかくここは一旦街へ戻ってみよう。 |
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2012.12.19.
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