再戦、再結成
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| そういやあの人が怒ったところって見たことがないな。 | |
| 温厚といえばそうなんだよな。 |
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| ……どうしてそんなことを私たちに教えてくれるんだ? | |
| 帝国も一枚岩じゃねえのかもな。 | |
| ……でも肝心の皇子は私達の犠牲を厭わないと言うのね。 | |
| もしこの兵士が為政者だったら良かったのにな。 | |
| それはそれで甘いとしか思えないけど。 |
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| 地下2階にはいなかったな。結局ここまで来てしまった。 | |
| 探索を続けるのもかなり厳しくなってきた……。 そろそろ出てきてくれてもいいんじゃないか、ローゲルさん。 | |
| ……かなり近くに殺気、狙いは、私たちね。 | |
| ってことは。 |
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| やっぱりだめなの……? | |
| そんなこと言ってる場合じゃねえ、このままじゃ殺られるぞ! | |
| とりあえずとにかくいつも通りにいこう。私は腕を狙う、マリアさんはガードタンゴを頼む。 |
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| エイゴ!? | |
| ショックドライブ……な、なんなんだあのダメージ。前戦ったときはあんなことしなかったはず! | |
| ……あれがローゲルさんの本気、ってことね。ナノカはもうちょっと腕を狙ってみて。 鞄にネクタルがあったはずだから私はエイゴを起こす! |
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| 拡散攻撃。ネクタルじゃ回復量が足りないみたい。 | |
| でもこれ以上手数が減るのはまずい。 またすぐに戦闘不能になるかもしれないけど回復しよう。 | |
| ネクタルの残り、あと1個しかないわね……。 |
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| 羅刹状態でのチャージ氷刹でこれだけ。全然ダメね。 | |
| そういやさっきのやたら強かったやつ、ローゲルはなんであれを使わないんだ? | |
| きっと「使わない」じゃなくて「使えない」んだ。 | |
| 刀身の熱量が大変なことになっている。おそらく冷えるまでは使えない。 | |
| でもいつ刀身が冷えるかなんて分からないわ。次のドライブまでに決着がつくかしら……。 |
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| 想像以上に早いぞ!またドライブが使えるようになってしまった! | |
| これは詰んだ。戦略的撤退だ。 |
| 戦略的撤退って言うけどよ、戦略を立てられる人がいねえんだよな。 | |
| うっ、たしかに。 | |
| でもここで諦めるのは勿体ないわね。なんとかしてあの人と話をしないと。 | |
| セリナ……。 | |
| ここで引いたら私たちイクサビトはは死ぬの。それだけは確実。だから負けられない。 | |
| そんなこと言われたら行くしかないじゃねえか。 よし。クロムとユーリに作戦が立てられて、俺らに立てられないわけがない。そのための努力をしよう。 | |
| そうだな。マリアさんもそれでいいだろ? | |
| ……うん。 |
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| ここまでに帝国の兵士は一人もいないな。 | |
| 皇子がいるにしては警備が甘すぎる気がするが、僕に言わせれば敵がいなくて気が楽だ。 | |
| いちいち帝国の兵士と戦うのも嫌ですしね。 | |
| 本当に皇子はここにいるのでしょうか……? | |
| 港長が言ってたなら間違いないって! まだ行ってないとこいっぱいあるんだからそのうち見つかるよ! |
| とりあえずここまでで分かったこと。 |
・ショックドライブ:単体雷+斬攻撃 使用後オーバーヒート
・ラウンドソード:拡散斬攻撃
・ソニックレイド:単体斬攻撃 最速発動
・シャープエッジ:単体斬攻撃
・クールエッジ:単体斬攻撃
・強制排熱:オーバーヒート状態から復帰
・ヴァンガード:3ターン最速行動 防御低下
・リアガード:3ターン最遅行動 防御上昇
| オーバーヒートから復帰した直後は絶対にドライブが飛んでくるみたいだな。 | |
| でもいつ復帰するかが怪しかった。3ターンだったり4ターンだったりだ。 | |
| せめてこれだけでも予測できればな。 | |
| あとは攻撃技が全部腕依存だ。腕封じが入ればかなり楽になりそうだ。 | |
| 私が堪えたのはリアガードね。防御上昇が痛すぎる。 | |
| ……私に策があるわ。装備とスキル編成は任せてもらってもいいかしら。 | |
| おっあるのか!いいぜ、やってみようぜ! |
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| それぞれが一番火力の出るスキル振りにしたわ。 しかもそれぞれが自己完結しているから、もしショックドライブが当たってしまってもあまり気にしなくていいわ。 | |
| いや……俺はそれでいいんだけどさ、マリアちゃんのそれ、何? |
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| 本職放棄どころの騒ぎじゃないぞ、なんだこれ。 | |
| ……こうでもしないと勝てないのよ。 | |
| マリアがドライブを引き付けるってことね。 でもかなり不確実。お勧めはしないわ。 | |
| 大丈夫、勝算はあるわ。行きましょう。 | |
| きっと極毛ゴートを食べていくといい。 | |
| そうね。ちょっと遠回りになるけど大丈夫よね。 | |
| ええと、遠回りになることよりもマリアさんのが心配……。 |
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| ……マリアさん? | |
| 前衛を彼女一人にして極限までドライブを引き付けるってこと。 | |
| セリナの言う通りでだいたいあってるわ。 実はね、ドライブは前衛にしか飛んでこないみたいなの。こうすればみんな安全よ。 | |
| ……いつぞやのユーリの作戦の応用か。 | |
| そうよ。攻撃は皆に任せるわ。 エイゴは先読みして私にリザレクト、ショックドライブは私に任せて。 |
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| マリアさん! | |
| 大丈夫だ、今すぐ蘇生する。こっちはマリアちゃんに言われた通りひたすら攻撃しよう。 |
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| 強制排熱よ。もう一回皆は後ろに下がって。 | |
| また受けるのか!? | |
| ナノカは脚封じをしてスコールショット。 それ以外は何もしなくていいから。私に任せてって言ってるでしょ? |
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| これは……すごい。 | |
| マリアさんがやれっていうなら仕方ない。なるべく早く終わらせるだけだ。 |
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| ……お? | |
| これが仕掛けよ。私だけが扇の舞で避けられる。 エイゴのリザレクトが無駄になっちゃったのは申し訳ないけど…。 | |
| 何言ってんだ!保険貧乏は幸せな証拠だ! | |
| もう一回、みんなが前に出て私が後ろから引き付ける。 後ろにいればもし直撃してもダメージはそんなに大きくないから! | |
| よし!そういうことなら心配しないで戦える! |
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| もともとスコールショットは命中率が低い。脚を縛っているうちに叩いてしまわないと。 | |
| それなら私があの人を麻痺させられる。大丈夫よ。 | |
| なんかさ。マリアちゃんは自己完結しているって言ったけど、ちゃんと噛み合ってんじゃん。すごいな。 |
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| あと少しだけど、封じが切れたわね。 | |
| 封じがないとクリティカルが出にくくなってダメージも落ちるけど……これくらいなら頑張れる。 | |
| 俺もスリープブローを使う。一気に削ってしまうぞ! |
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| この迷宮も地下3階までしかないとすれば……ここが最下層だな。 | |
| 皇子いないねーどこだろう。 | |
| あそこに人が居ます……帝国の兵士でしょうか? | |
| 兵士……あれはローゲルと…………マリア? |
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| よっしゃ!勝ちだ! | |
| ……まだ終わってない。 |
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| 違う、私たちは話をしにきただけなの! | |
| ローゲルだってどっかで思ってるんじゃないのかよ? ウロビトやイクサビトを犠牲にするなんて間違ってるって。 |
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| ……ああもう! なんだイライラしてきちゃった!この人にも自分にも! | |
| !?マリア、どうしたの? | |
| 少し時間が掛かっちゃったけど、私は決めた。バルドゥール皇子を絶対に説得するって。 ローゲルさんも同じなんでしょ。それなのに何でこんなところで私たちと戦っているのよ! | |
| そ、それはやっぱり立場とかあるじゃないか。 | |
| そうね。だから少しの間だけ手を貸してもらうわ! 私たちがローゲルさんを無理やり連れ回しているってことにすれば問題なんて無いでしょ? | |
| 言うねえ!でも確かにいい案だな。 さっそくローゲルのスキルとステータスを見せて貰おうか。 |
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| おぉ強い。私たちはこんなのと戦っていたのか。 | |
| それにしても不思議な武器……剣というより機械なのね。 | |
| ……動かないで。近くに人間がいるわ。……こっちに向かっている。 | |
| 敵か!?なんでこのタイミングなんだよ間が悪い! | |
| こっちは満身創痍ね。とてもじゃないけど戦えたものじゃないわ! | |
| ……来る。 |
| マリア……? | |
| クロム……。 | |
| エイゴさんとナノカさんまで……。 | |
| おっあのおじさんがエイゴか! | |
| おじさんって言うな。それよりも……俺らはちょっと黙っていた方が良さそうだな。 | |
| むぐぐ | |
| 何で……マリアたちがローゲルと一緒に居るんだ…? | |
| まさか帝国側に寝返ったなんてことは……ありませんよね……? | |
| おい、そりゃ誤解だ。あと俺はおじさんじゃねえ、まだ30代だ。 | |
| どいてくれ、僕は帝国を倒さないといけないんだ。 | |
| おいクロム、話を聞けよ! | |
| 帝国を倒すなら私はここを退けない。帝国を止めようっていうなら……話は別だけど。 | |
| 待ってください、一体何があったんですか? | |
| 聞くっていうなら話すわ。とにかく一旦タルシスへ戻りましょう。 |
| ……つまりマリアたちが寝返ったわけじゃなく、ローゲルがこちら側についたってことか。 | |
| 何も言わずに単独行動したのはその、……悪かったわ。 | |
| というかクロムさんが何も言わずにどこかに行ってしまったから……。 | |
| それもそうですね。 私たちは帝国を止めるために行動していましたが、マリアさんたちに先を越される形になりましたね。 | |
| 俺らはまあ、その、いろいろあって皇子を説得できねえかってなった。 | |
| そうだったのか。余計な混乱を招いてしまったみたいだ、すまない。 | |
| ここらで自己紹介したほうが良さそうだな。俺はパトリオ、フォートレスだ。 | |
| 僕はツザン! | |
| ええと、ミスティックのキサラです……。 | |
| 私も挨拶した方がいいわね。私はセリナ、見ての通りモノノフよ。 | |
| あ、あぁセリナか、よろしく。 | |
| これだと、そちらは4人で探索をしていたことになりますが……。 | |
| ああ、4人だったよ。これ以上は増援を望めそうじゃなかったからな。 | |
| ローゲルとは戦闘になっただろう。一体誰が戦略を? | |
| …それは私よ。あれは私にしかできなかった。 | |
| ………確かにな。 あれは危険すぎてずっと回避していた戦略だったが……まさかあれだけ心配していたマリアがやるとは。 | |
| だってあれしか確実な方法がなかったんだもん……。 | |
| まぁマリアが最善だと思ったならそれでいいんだが。 | |
| これでクロムさんとマリアさんたちの目的が一致しましたね。これからどうしますか? | |
| 9人もいるのか。この中の5人で探索ということになるな。 | |
| そのあたりは僕が指揮を執ろう。仮にも僕は……ファレノプシスのマスターだからな。 | |
| マスターか!かっこいいね! | |
| じゃあサブマスターはマリアちゃんだな!そんでもってファレノプシス再結成だ! | |
| 私が? | |
| いいじゃないか。人数も増えてきたことだしな。 | |
| そっか……わかった。じゃあ今後ともよろしくね! | |
| いいねいいね!よーし、気を取り直して皇子を探そう! |
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2013.06.08.
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