閉じた扉、その先の迷宮へ
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| ……世界樹があんなことになってしまって、私たちはこれからどうすれば……? | |
| この先どうなってしまうのかなんて、私にもわからない。 | |
| 未来どころか、現状すら理解できる人は存在しませんよ……皇子を除いては。 | |
| いや、その皇子もどうだか。案外方法と結果しか知らないかもしれない。 | |
| 救いようのないことを……。 |
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| ……本当に? |
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| 巫女殿は無事なのですか!? | |
| 無事ってまで言い切れないけど、手遅れってわけでもなさそうね。 |
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| この戦いはまだ終わっていない。何としてでも皇子を、世界樹を止めよう。 |
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| なんだか大変なことになってしまったけど、ずっと切羽詰まってるのもしんどいな。 | |
| わかるー!だからってこっそり気球飛ばしちゃってもよかったの? | |
| クロムさんたちは辺境伯のところに報告に行っていてまず使わないだろうから、多分大丈夫。 | |
| それにしても皇子はどこ行っちゃったんだろうね? | |
| あの石像との戦いの途中に見失ったのはまずかったな……これはちょっと情報収集が必要そうだ。 | |
| ……ちょっといいか? | |
| !その恰好……帝国のものか。俺たちに何の用だ。 | |
| お前ら、ファレノプシスってギルドについて知らないか? | |
| ……知ってるも何も、私たちがファレノプシスだ。 | |
| ?どうなっている。俺の聞いた話じゃ、髪の長い美人が仕切ってるって話だったんだが……。 | |
| (髪は長いけど美人かなあ……?) | |
| そりゃ僕たちのことじゃなくて、多分クロムのことだと思うな! | |
| クロムというのがマスターなのか。ちょっと会わせてもらいたい。 | |
| (おい……こいつ何者だ? 帝国の全員が敵というわけではないのは分かっているが、流石に怪しすぎる。) | |
| (……不用意に身分を明かしてしまったのは失敗だったと?) | |
| (さて、どうやってあしらおうか……、) | |
| いいよー!多分クロムも拒まないよ! | |
| そうか、なら良かった。出来れば一対一で話をしたいんだが大丈夫か? | |
| うん!多分大丈夫だよ! | |
| !?おいツザン!勝手に話を進めるな!まだこいつの素性もわからないのに、 | |
| えーだってこの人会いたいって言ってるんだよ!いいじゃん! | |
| ……パティの考えてるみたいなこともあり得ると思うけど、この人はそういう理由で私たちに接触したんじゃないと思う。 あとクロムさんが居たら拒まなかったと思うし。 | |
| お前ら……。 |
| というわけでこのギルドに入らせてもらうことになった、サクヤだ。 | |
| !?!? | |
| ちょっと怪しい気がしなくもないが、おそらくこの先こいつが必要になると思ってな。 | |
| それはそうかもしれないけど!……クロムがいいって言うなら私は何も言わないけど。 | |
| 言っておくが俺は皇子が嫌いだし、ローゲルについても何とも思っていない。 俺個人とお前たちの目的が一致していると思って声を掛けただけだ。 | |
| 変に綺麗事を並べられるよりも信用できそうな発言だ。 | |
| ふーん……じゃあ何か有用な情報の提示でもしてくれよ。 | |
| ……いいだろう。世界樹が枯れた後、中腹より下にウロのような物が確認された。 どうもその先に迷宮が広がっているらしい。 | |
| らしい?あのあたりは帝国の管理下にあるのでは? 帝国すら把握していなかった迷宮なのですか? | |
| あぁ。あんな場所に迷宮があるなんて、それこそ世界樹が折れでもしない限り気づかないだろうよ。 俺は中のことはよく知らないが帝国の兵はもう入っている。 | |
| 詳しい話は現地で帝国の兵士に聞いた方が良さそうだな。 ……迷宮に入るに当たってちょっと人数を絞りたいんだが……。 | |
| そこはクロムさんの采配に任せる。 | |
| そうか。当然だが僕は行く。 それと……そうだな、キサラはこっちだ。 | |
| ……え?私……ですか。 | |
| 毒が撒けるのはかなり強い。敵の耐性お構いなしに固定ダメージだからな。 あとユーリ。 | |
| 毒が入らない敵の弱点を突け、ということですね。 | |
| さすが、わかっているな。 | |
| 俺はいいのか?回復役とかいるんじゃねえの? | |
| そこはサブクラスで対応が効くからあまり問題ないな。 キサラの回復歩行と保険にリフレシッシュやリカバリー、リザレクションがあれば問題ない。 | |
| 出たよ。もうそろそろ俺の存在意義がゼロになっちまう。 | |
| 防御面に問題がありそうだな。俺がマリアさんを入れることをお勧めしよう。 | |
| なるほど。まぁそのあたりはそっちに任せる。明日の朝までに決めておいてくれ。 | |
| ふーん……まあ仕方ねえな。長く一緒にやっている仲間の方が連携も取りやすいわけだし。 | |
| 何を言っている。 今回のメンバーは僕とキサラ、ユーリ、マリアかパティと……あとはサクヤだ。 | |
| 本当か? | |
| おそらくこの先サクヤの知識と経験が必要になる。 あとは帝国としての視点で何か気づくことがあるかもしれないだろう。 | |
| ……わかった、この先の探索に同行しよう。 |
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| 結局俺がこっちに来ることになった。 | |
| そうか。マリアがあっちに居るなら、安心してウロの探索に専念できる。 | |
| 本当に世界樹の下に迷宮があるんですね……! | |
| しかしこれだけの大きさのウロというのは……世界樹はいつ作られたのでしょうね。 | |
| それは……私たちの祖先を辿ればある程度分かるのでしょうか……? | |
| どうだろうな。少なくとも帝国の歴史に残っているのは「世界樹を創造した後」の話ばかりだからな。 |
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| 何だあれ? | |
| あそこに帝国の兵士がいるな。話を聞いてみよう。 |
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| ……おそらくだがこれは「王の石門」という代物だ。……ガセネタとばかり思っていたが、まさか本当に存在したとは。 | |
| なんだって? | |
| 文献には残っていたんだが今の今まで現物がどこにも見当たらなかったんだよ。 | |
| ……この先が世界樹の中枢なのだとしたら、それに対して封印を施していてもおかしくない。 王の石門について知っていることはないか? | |
| 確か……南に行った先に4人の王が治める城があって、玉座があって……。 ……そうだ、この扉を開くには4人の王の認証が必要なんだ。 | |
| 4人の王……?そんなものは聞いたこともありません……。 | |
| そもそもここから南なんて、僕たちが探索し尽くした大地が広がっているだけだろう。 | |
| そうなんですよね。城も玉座ももう残っていないのかもしれません。 | |
| ですが……王の石門は開かないということは……。 | |
| おそらく機能としてはまだ生きているし、俺たちがこの先に進むには王の認証が必要ってことだ。 | |
| 見当もつきませんね。とりあえずこの迷宮を探索してみますか。 |
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| あれ……何でしょう? | |
| 地図の座標で考えると、ここが迷宮の端のはずだ。この先に何がある? | |
| どうやら風が通り抜けているようです。 あちら側にもそれなりの空間が広がっているかもしれません。 | |
| ……行ってみよう。 |
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| ここは……木偶ノ文庫ですよね……? | |
| どう見てもそうだな。地図で見ると……ここは地下3階だ。 どうやら世界樹の根本と木偶ノ文庫は地下で繋がっていたらしい。 | |
| とは言っても俺たちの知っている木偶の文庫とは少し違うみたいだ。 |
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| 今の俺たちは地図左上の方から来たんだ。 | |
| 完全に迷宮内が二分されていそうですね。 | |
| 誰も探索したことのない迷宮ということは、王の玉座がどこかにあってもおかしくないな。 |
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| これは……祭壇……でしょうか……? | |
| なんだか見覚えのある紋章が……これ、谷にあったものと同じですね。 | |
| ……まさかこれが王の玉座なのか? | |
| 調べてみよう。何か起きるかもしれない。 |
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| 何の音だ……何が起きている? | |
| 少なくともこのあたりに変化は見られませんね。どこか別の場所で変化があったのでしょうか。 | |
| どこか別の場所ね……それが王の石門のあたりだとすれば。 | |
| これに触れることが「王の認証を得る」ということに置き換えられるな。 | |
| でも、王は4人でしたよね。これで1人の認証を貰ったとしてもあと3人はどこに……? | |
| そうだな。もうちょっと探索の必要が……ん? |
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| また変なものが。しかも何だ?開きそうだぞ。 | |
| クロムさん。この位置と方角、もしかして……? |
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| この反対側は私たちが揺籃の守護者と戦った広場になっているんです。つまりここを開ければ……。 | |
| あっちとこっちが繋がるわけか。 |
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| こいつ、一度内側から開くまでは自由に開閉できないようになっていたのか。 | |
| パッと見た感じじゃ扉には見えないのが上手いよな。 何せずっとこの迷宮が身近なものだったはずの帝国ですら気づかなかったんだ。 | |
| ……地図を見て少し思ったのですが……各迷宮の地下3階って不自然な空白が多いですよね。 | |
| すべての迷宮が地下で繋がっている可能性があると? | |
| はい。また迷宮の数は南に残り3つ……残りの王の数は…… | |
| 3……! | |
| もしかして、王の治める城ってのは迷宮のことだったのか? | |
| まだ確信は持てませんけど、あり得ると思います。 | |
| ならもっともっと南に進めってことだな。 よし、ユーリの予想に乗ってみよう。なるべくこの階の南を目指して進むぞ。 |
| ……少しいいですか? | |
| どうした。何か見つけたのか? | |
| ユーリが持っているそれは、本か?俺にも見せてくれ。 |
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| 劣化が激しくてこれ以上は読めなさそうだ。 | |
| 世界樹に物理的な封印……それって、きっと谷に雲がかかっていたあれのことですよね。 となると私たちがここに来るためにやってきたことは、 | |
| 封印の解除そのものだ。……仮に世界樹が暴走することがあったら、今のタルシスも危険ということになる。 | |
| 私たちの里も……被害に遭うってことですよね……? | |
| タルシスにまで被害が出るってことはウロビトの里もそうなんだろう。 | |
| ……ローゲルが気球を飛ばせるように助言しなければ、タルシスは平和なままだったのにな。 | |
| いいえ、遅かれ早かれ封印は解かれていたと思います。 | |
| 確かに、タルシスが冒険者や迷宮ありきの街である以上、遅かれ早かれ誰かが見つけていた気もするな。 | |
| ……そういうもんなのか、タルシスってのは。 | |
| この問題が解決したら、タルシスを散策してみるといい。 いろいろな文化が見られて退屈しないと思うぞ。 | |
| あ、そういうことなら私案内できますよ。 生まれも育ちもタルシスですから、面白いところはいくらでも知っています! | |
| !そのときは私も……よかったら……!その……。 | |
| ……ま、今はそれどころじゃねえからな。考えとくよ。 |
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2013.08.22.
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