歪んだ信念を杖に
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| ――という訳で、世界樹のウロから入った迷宮にあった『王の石門』は開いた。 | |
| なるほどね。報告ありがとう。 | |
| 迷宮の奥の奥には世界樹の暴走に関する情報が眠っていたんだな。 | |
| ただ依然として分からないこともあります。 | |
| そうなのか?かなり状況が見えてきたと思っていたが。 | |
| 状況もやらなければならないこともはっきりしていますよ。 ……ただちょっとした不安、と言いますか。 | |
| ……『巨人』の件だろう? | |
| はい。……皆さん、『巨人』が何物なのかが想像できますか? | |
| それは……巨人って言うからには人の形をしていて……。 | |
| とても大きいのですよね……ウロビトの中ではそう伝えられています……。 | |
| イクサビトは巨人のことを呪いを振り撒く厄災だと認識しているけれど、確かにそれって曖昧な概念みたいなものね。 | |
| 本当にでっかい人がいるんじゃないの!? | |
| ……その可能性もあります。 | |
| 過去には世界樹の暴走によって『巨人』との戦いが起こったんだろう。 皇子を止められようが止められなかろうが、世界樹が暴走すれば『巨人』が姿を現すかもしれない。 | |
| でも過去に『巨人』と戦ったときは、皆で協力して倒せたんだろう? | |
| どうだか。倒せたなら心と心臓と冠を遠ざけておく必要なんてないと思わないか? | |
| 確かに、『巨人』がもういないのなら、私たちが今も巨人の呪いに苦しめられているのはおかしい。 | |
| 最悪の事態は、ウロビトやイクサビトの皆さんの未来が失われることではありません。 | |
| ……。 | |
| 私たちの力が全く通用しなかったら……その時は……? | |
| もっと広範囲まで影響が及ぶかもしれねえな……。 | |
| これはあくまで可能性の話だ。最初にユーリが言ったように、やるべきことは決まっている。 | |
| ……そうね。最悪のことばかり考えたって仕方がないわ。 | |
| 王の石門の先へ行きましょう。まず皇子を探し出さなければ。 | |
| そうだ、そういえばキバガミさんは巨人に近づくだけで身体が樹や草に変えられてしまったと言っていた。 クロムさん、王の石門より先では絶対に無理をしないでほしい。 | |
| あぁ、分かった。皆ももし少しでも異常を感じたらすぐに言ってくれ。 |
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| 皆、今のところ体に異常はないな? | |
| ああ。いつも通りだな。 | |
| 改めて見るとこの迷宮……世界樹の根っこというよりも、遺跡という感じですね……。 | |
| そうですね、都市のような……昔はある程度繁栄していたのでしょうか。 | |
| で、こいつはどうする? |
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| 花だな。変な粘液を吐いているがこれは踏まないほうが良さそうだ。 | |
| 同じ場所をぐるぐると回っているだけなので、なるべく視界に入らないように進みましょう。 | |
| わざわざ倒す必要はないしな……これは通常の戦闘でもそうだが、先手を取れても戦わずに逃げるようにしよう。 | |
| 折角有利に戦闘を始められるなら戦った方が良くないか? | |
| それがそうでもないんだ。 |
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| 中央と右に居るのがバンパイアバットと言うんだが、こいつは延々と仲間を呼び続ける。 | |
| HPが600以上あるのも嫌らしいですね……2ターンの毒じゃ倒れてくれません……。 | |
| 正直仲間を呼ぶだけなら警戒に値しないんだが、問題はこれだ。 |
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| ……ダメージは受けていないような気がするが? | |
| HPに被害はないがTPが大量に吸収されている。これはバンパイアバットが3体揃うと使ってくるみたいだな。 | |
| 30以上TPを持っていかれるんだな。俺みたいにTPがそもそも少ないと痛い。 | |
| 総TPから割合で吸収しているのか、キサラなんかは50以上吸われる。 これを食らうと単純に一回分の戦闘力を失うと思っていい。 | |
| 継続戦闘が辛くなるんですね……わかりました。 | |
| でもこんな奴はどうするんだ? |
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| 初めから寝ているんだが。 | |
| 見るからに地雷だな。起こすと大変なことになりそうだ。 | |
| 逃げるにしてもこちらの逃走率は高くありませんし……。 | |
| こいつに関しては倒す方がいいかもしれないな。そのあたりは臨機応変に対応しよう。 |
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| あれは……? | |
| おい、大丈夫か!? | |
| これが、巨人の呪いですか……? どうしましょう、ここに置いていくわけにはいきませんし……。 |
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| キバガミ……お前もここに来ていたのか。 | |
| とにかくこの兵士はキバガミさんに任せましょう。 キバガミさんなら処置にも慣れていますし大丈夫です! | |
| ……そうか。それなら任せよう。 |
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| 今までとは違う扉が2つあるな。 | |
| ……鍵が掛かっている。今はどうしようもないみたいだ。 | |
| 扉に何か彫ってありますね……ええと、「黄昏に嘆く者也」……? | |
| こちらの扉には「始まりを謳う者也」とあります。……これ、どこかで聞いた言葉ですね。 | |
| もしかして、迷宮の奥にあった石碑に掘られていた言葉じゃないか? | |
| 調べてみたいところだが、ちょっと今は手が離せないな。マリアたちに調査を頼んでみるか。 | |
| 各迷宮の石碑に掘られていた言葉も教えた方がいいですね。 | |
| あぁ。それはメモを渡しておけばいいだろう。 |
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| ウーファン!どうしてこんなところに……! | |
| 倒れた帝国兵の救助か…お前がそんなことをするとは珍しい。 |
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| ……ウーファンは強いですから、大丈夫です。 | |
| でもこんな迷宮の奥深くまで一人で来るのはさすがに危ないだろう? | |
| きっと一人じゃないです。……ウロビトは基本的に一人で迷宮に入らないんです。 私たちは一人では戦えないことをよく知っています。だから……仲間も一緒のはずです……! | |
| そうか。じゃあ心配はしないでおこう。 | |
| ……帝国なんてウロビトやイクサビトには恨まれているだけだと思っていた。なのにこんな、 | |
| 帝国の人たち全員が悪い人ではないことは、皆分かっている。 | |
| 主に、タルシスに気球のことを教えた誰かさん、イクサビトと交流した誰かさんと、 ……今私たちに協力してくれている誰かさんのおかげで、ね。 |
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| ……風が強いな。しかも何だ?この臭いは。 | |
| ……「緑」の香りだなこれは。 | |
| 最初にこの迷宮に入ったときも似た臭いがしていた気がします……ここだけ臭いが強いのでしょうか? | |
| ……もしかしたらだが、キバガミが言ってたように、皇子が呪いにかかっている可能性もあるな。 これだけ世界樹に近付いているんだ。あり得ない話ではないよな? | |
| もし奥で倒れていたりでもしたらとんだ笑いものだぜ。 | |
| でもまだ世界樹は完全には起動していないんですよね……? | |
| ……例えば皇子が奥で動けなくなっていたら……私たちは助けるのでしょうか……? | |
| ……。 | |
| い、言っておきますけど!私は助けますからね……! サクヤさんがどう思っていたとしても……巫女が皇子に手を差し伸べたんですから、私も…! | |
| キサラは強くなったな。僕は……いや、これ以上は奥へ行って現状を確認してから判断しよう。 | |
| ……では、扉を開けますね……。 |
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| な、何ですかあれ……顔……? | |
| 木像……?いや、あれは動いている……! | |
| じゃあこの風は、呼吸だとでも言うのか!? | |
| あれはおそらく巨人だ……それも生きている……! | |
| ……バルドゥール皇子、これは一体どういうことですか。 |
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| 世界樹と巨人が同じもの?じゃあ巨人の呪いは、 | |
| 巨人の呪いが世界樹の力なんだろう。 ……いや、待ってくれ。世界樹の呪いは、人間の身体を草木に変えてしまうというものだったよな? | |
| 人間というか、イクサビトもそうなっていたがな。……人間が草木に変わることが大地の浄化? | |
| ……じゃあ最も美しい大地ってのは、人間が存在しない世界のことにならねえか? | |
| つまり世界樹の力が完璧に使えたところで、全員が巨人の呪いで草木に変えられてしまうということですか! | |
| そして皇子がこの可能性に気づいているなんてことは……まずあり得ないよな。 | |
| そうだな。気づいていてこんなことをやるはずがない。 |
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| 皇子の腕に蔦が……!あれは巨人の呪いです……! | |
| この状態で助けろってか!?そりゃ無理だ! 襲い掛かってくる相手を助けようなんて考えるべきじゃねえよ! |
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| 駄目だ、戦うしかない。 | |
| 分かってたっつーの!とりあえず全員防御だ!ドライブがくる可能性が高い! |
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| 命中率は低いがなんだこの攻撃回数は!?おいサクヤ、どうなっているんだ? | |
| 俺が知るかよ。まぁ奴の砲剣はオーバーヒートしている。今のうちにやることやるぞ! | |
| パティは武息で回復してランパートからの挑発、サクヤはドライブで対抗しろ。僕たちは後ろから支援する! |
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| っくそ、全然ダメージが入っている気がしねえ。 | |
| 直前に攻撃力を落とされたのが痛いですね。 |
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| 強制排熱だ。次もドライブを覚悟した方がいいぞ。 | |
| それならさっきと同じで全員防御だ。 |
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| うぐッ……まさか通常のドライブを使うとは! | |
| こちらの方がダメージが集中する分危険かもしれません。 それにしても……なぜサクヤさんにまで攻撃が当たって……? | |
| ワイドエフェクトだな。あれは拡散攻撃になって飛んできたんだ。 パティがターゲットだったみたいだから俺も耐えられたが、俺にヘイトが向いたら防御程度じゃ間に合わなくなる……! |
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| 麻痺が入った。少しは安全になっただろうから僕も前で戦おう。 | |
| でも……また攻撃力を落とされているので攻撃の入りは悪いですね……。 | |
| 相変わらず毒はダメージ効率…が…いいとは言えないんですよね、これも。 | |
| 弱体を受け続けているせいで、未だに攻撃力がいつも通りの状態で殴れた試しがないな……。 次のターンで弱体は解けるが、あっちのドライブのターンだ。 | |
| それなら俺がサクヤを庇おう。俺は無視してサクヤはドライブを打ってくれ。 | |
| 了解。 |
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| サ、サクヤさん……。 | |
| パティの挑発が完全に寄せてしまったみたいだな。申し訳ないことをした。 | |
| 前衛壊滅ですね…これは撤退ですか? | |
| あぁ。次のターンに攻撃されなければユーリとキサラの回復で持ち直せるだろうが……。 どちらにしろこのままじゃジリ貧だ。撤退。 |
| そう……皇子と戦うことになってしまったのね……。 | |
| 止めるにはそれしか方法が無さそうだったんだ。 で、参考にマリアたちがローゲルを倒した時のことを詳しく聞きたいんだが……。 | |
| うーん。でもあれはきっと4人だったからできた方法なのよね。 かと言って、クロムの話を聞いた限りだと少人数じゃ攻撃の集中に耐えられないだろうし……。 | |
| 攻撃力を下げられるなら長期戦になるだろうな。 あの方法は運に依る部分が大きいから、長期戦には向いていないと思うぞ。 | |
| つまりやめた方がいいってことか。 | |
| そうみたいだな。……あ、マリアたちに煌天破ノ都にあった謎の扉の調査を頼みたいんだが。 | |
| いいわよ。どうせ暇だったし皆で行ってくるわ。 | |
| 頼んだ。くれぐれも迷宮の奥には近付くなよ。皇子は僕たちの方で何とかするから。 | |
| よし!じゃあ久しぶりに迷宮に入りましょうか! | |
| まったく、久しぶりすぎて笑っちまうぜ。 | |
| ほんとにね!体鈍ってないか心配だよ! | |
| ……皆元気なのね。 | |
| よし、じゃあ僕たちは僕たちの方で皇子をなんとかするための作戦を立てるぞ。 |
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2013.09.28.
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