Your adventures ended?
半年後
| 巨人を倒してから大分経って、タルシスも平和になりましたね。 | |
| 全くだ。一時期滅びの道へまっしぐらしていたとは到底思えないな。 | |
| ……やることが無くなってしまった。 | |
| は?そりゃどういう意味だよ。 | |
| だって私は世界樹の謎を解き明かしにここに来たはずで……。 | |
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それはそれは……。 確かに、世界樹の謎を解き明かすどころか、新しい世界樹が巨人から生まれるところまで見てしまいましたもんね。 | |
| いやーあれは凄かったな!巨人の体から芽が出て、みるみる前の世界樹と同じくらいに成長して! | |
| 全てが元通りに……という訳にもいかないですよね、冒険者の皆さんは特に。 | |
| でもさ?普通に迷宮探索するのも楽しいじゃん! | |
| 俺たちは世界樹の謎は置いておいて、ただ冒険者として生計を立てるためにタルシスに来たんだからな。 | |
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ったく、お前らは本当に世界樹を何だと思って……。 ……いや俺も大した理由でここに来たわけじゃないんだが。 | |
| そういえばクロムはさ、なんでタルシスに来たの? | |
| 僕?……僕か。なぜかと訊かれると……強いて言うなら、マリアの付き添いかな。 | |
| えっ、迷宮探索にはノリノリ、バリバリの冒険者って感じだったクロムさんが付き添い? | |
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突っ込むところそこじゃないと思いますよ。 そういえば、クロムさんとマリアさんはここに来るまでも一緒だったそうで。 | |
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うん。私が世界樹に近付いて謎を解き明かしたいって思ってたの。 それをクロムに相談したら、じゃあ一緒に行こうかって話になって。 | |
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じゃあマリアちゃんもやることが無くなったってわけかー。 ……お前らはもうタルシスから離れるのか?ファレノプシスは解散か? | |
| どうしてそうなるんだ、話が早いな。 | |
| でもここにいる理由はないんだろ? | |
| と、思うだろ?実は最近、辺境伯から面白い話を聞いたんだ。 |
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| だ、そうだ。 | |
| これが世界樹に直接関係しているかは分からないけど、やっぱり気になるじゃない? | |
| 何というか……本当にお前たちは冒険者の鑑だな。 | |
| それに孔雀亭にもかなり依頼が寄せられていたしな。 |
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| 巨人を倒して有名になっちゃったみたいで、ファレノプシスを名指ししての依頼なんかも来てるのよ。 | |
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そういうわけだ。各自で好きに依頼なり何なり進めてくれればいい。 何かあったら相談、状況は一応僕に報告してくれれば全く問題はない。 | |
| 了解!自由行動ってことね! |
| まずは依頼を一つ受けてきました。宿屋の女将さんからです。 | |
| 女将には俺たちも世話になっているからな、是非同行させてくれ。 | |
| 4つの大地にある伝説の食材探しか。ユーリは何か思い当たるものがあるのか? | |
| そうですね……思い当たるものは無かったのですが、一応調べて来たんですよ。 |
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| ほー!見たことないのばっかり! | |
| 伝説の食材、ですからね。 | |
| あとは第4大地の食材だけか。 | |
| それなのですが……思い当たらないんですよね。 | |
| んーそういうときは!詳しい人に訊いてみよう! | |
| 誰にだよ……。 | |
| ……もしかして俺はそのために呼ばれたのか? | |
| うわお前!居たのかよ! | |
| そりゃ帝国のことには多少詳しいつもりだが、残念ながら伝説の食材なんて知らないな。 | |
| そっかぁ | |
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勝手に呼ばれて勝手に残念がられるのも何だかな。 伝説って言われるようなものがある場所なんて……いや、あるとすれば……。 | |
| 勿体ぶってないで早く言えよ。 | |
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風止まぬ書庫よりも風当たりが強いな。 あくまで強いて言うなら、だぞ。……この大地の北西の角だ。 | |
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北西って金鹿図書館のあたりですか? ……あれ、そういえば金鹿図書館の話、ありましたよね。 | |
| いや迷宮内に食材になるような生き物はいないだろ普通。 | |
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迷宮1つにつき外からの入口は1つ……いや、どうだろう。 第3迷宮、金剛獣ノ石窟なんかは入口が2つあったか。 | |
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あそこはイクサビトが居たからイレギュラーだろ。 迷宮は世界樹の封印を破らないよう作られたものだ。その用途から言えば1つの迷宮につき入口は1つだ。 待てよ。金鹿図書館みたいな小迷宮は世界樹の封印とは関係ない訳で……? | |
| ……行ってみます? | |
| いく! |
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すげーなお前らの予想は。 金鹿図書館の開かずの扉の先なんて、せいぜい小部屋があるくらいだと思ってたよ。 | |
| で、伝説の食材って言うのはこれのことか。 |
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| これで全部ですね。さて報告に戻りましょう。 | |
| よし行くか……おい、お前ら何をやっているんだ。 | |
| ……。 | |
| おいどうしたんだよ。 | |
| あれ、 |
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| ……ちょっと入ってみてもいいか? | |
| は? | |
| あれ、もしかしたら伝説の……暗国ノ殿…… | |
| 暗国ノ殿って、遙か昔に帝国が造ったと言われる伝説の建造物、でしたよね。これが? | |
| なんでタルシス人のお前が知って……もしかして帝国の資料に目通してあんのかよ。 | |
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帝国のことに興味があったのでわざわざお願いして見せてもらったんですよ。 外観が木偶ノ文庫にそっくりですし、同じ時代に造られたものと推測できます。 | |
| なにこれ入るの?入っちゃう流れ? | |
| でもここに至るルートは1本で、その唯一のルートだった金鹿図書館に鍵をかけてあったんだよな? | |
| そうなんですよね。何かある、ってことでしょう。 | |
| だよなぁ。さすがに危険は冒せない。ここは一旦戻ってクロムと要相談、ってとこか。 | |
| …………さっきからツザンが見当たらないんだが。 | |
| 嫌な予感しかしない。 | |
| 予感どころかあの建物の扉、誰が開けたんですか。 | |
| ……本当にすまないんだが、ツザンを連れ戻すのを手伝ってくれないか。 | |
| おう。行こうぜ。 | |
| そうですね。ツザンさんが居ないんですから仕方ありません。 | |
| (こいつら……何だか少し嬉し、いや楽しそうだぞ……??) |
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| 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!?!???!?!?!? | |
| 木偶ノ文庫と同じ時代の建物だと思っていましたが、様子があちらとはかなり違いますね。 | |
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木偶ノ文庫は帝国で管理している迷宮だからな。 それに比べてこっちは放置も放置。大量の書物も古くなってるし、読めるものは無さそうだな。 さっさとツザンの回収に向かうか。 | |
| お、おい。エイゴが石になってるぞ。 | |
| 大丈夫です。この程度の不気味さで意識を失うようなエイゴさんではありませんよ。 | |
| なら良いんだが。にしてもツザンはどこまで行ったんだ……。 | |
| あんまり奥へ行かれていると流石にまずいな……ん?何か蹴ったぞ。 |
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| 人骨? | |
| 迷宮のあまりの不気味さに気絶しかけたと思いきや、人の骨が転がってるのは大丈夫なのか。 | |
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勿論これも気味は悪い。 だが俺もメディックなんでな。これはある意味見慣れてるっつーか、検死の真似事なんかも昔はやってたし。 | |
| ああそうか。だよな。 | |
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しかしこれは何だ?綺麗すぎて何も伝わってこねえ。 少なくとも白骨化するくらいの時間は経っているだろうが……。 | |
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肉体は無くなっているのにローブだけが残っているのも違和感がありますね。 この素材そのものが世界樹を作る技術があった時代の産物と思えばそれまでですが……。 | |
| じゃあそのローブはこっちで解析させてもらって…… | |
| それは駄目だ。このローブはこいつの持ち物だからな。お前らのもんじゃねえ。 | |
| ……そうかよ。つくづく研究者と医者ってのは意見が合わねえもんだな。 | |
| 待て、ローブから何か落ちたぞ。 | |
| 紙?これも腐ってないのが不思議ですが……。あれ、少しだけ読めますね。 |
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| 蟲? | |
| やっぱり何か危険なものがあるってわけか。 | |
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こんなこと書いた紙を持ってるなんて、まるで誰かに伝えようとしていたみたいだ。 ……それも伝えることができずに死んじまったがな。 | |
| ちょっと本格的にこのままこの先に進むわけにはいかなくなってきましたね。 | |
| あれ、みんなもこっち来たんだ! | |
| お前どこに居たんだよ……。 | |
| えー?ちょっと入口の近くでウロウロしてただけだよ!流石に僕だってこんな迷宮の奥に行く勇気ない! | |
| はあ……もうわかった。帰ろう。皆迷惑をかけたな、すまなかった。 | |
| おう。とにかくツザンが見つかって良かったぜ。 |
| で。新しい迷宮があったと? | |
| 入った感じ、マジでヤバイ予感しかしなかったけどな。 | |
| なんで僕を呼ばなかったんだ。 | |
| え | |
| 新しい迷宮なんてそんな……気になるだろう。 | |
| そ、そうか。すまない。 | |
| (なんなんだよこいつ、探索狂かよ。ほんと冒険者だな。) | |
| (ひどい言いようですね。でもあながち間違ってないと思います。) | |
| 僕としてはそっちの新しい迷宮が気になるところだが、依頼のほうを先に済ませないといけないみたいだ。 | |
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(そんな残念そうな顔しなくても……。) そうですね、緊急のものもいくつかありましたし。 | |
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というわけで新しい迷宮のほうは後回しだ。 どうやら危険もありそうだからな、万全の準備を整えてからだ。今は依頼をこなそう。 |
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2014.02.28.
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