神話の後継者たち





私たちは何も理解していなかった。

先人たちが過ちに至った理由を。
自分たちが目指していた物の正体を。

絶望は悪意からは生まれない。

良かれと行われる行為の
積み重ねを温床に、それは育つ。

だが、私たちの試みを誰が否定できよう。
糾弾する者がいるなら教えてほしい。

明日の為、足掻くことすら諦めるなら
その生に何の意味があるのか。

   ――煌天破ノ都より見つかった
              古い手記より





おっしゃきた!!!
やっぱり両腕を折った状態でこの状況に持ち込むのは難しいな……。
腕の復活するタイミングがさっぱり読めないですからね。
それもだが腕を任意のタイミングで折るのが難しい。
両腕を折るタイミングを揃えるためにHPを調整しても、本体を庇ったダメージで折れてしまう。
今回はうまくいって良かったわね。で、どうするのよ。
総攻撃。あっちが引っ込むまでに決着をつけたいところだな。
でも上手くいくでしょうか……猶予はそんなにないはずです。
じゃあ私たちはもしものことを考えて、ある程度強化の延長をしてから攻撃に参加するわ。
俺もだな。それにどうせ俺らが殴ったって大したダメージじゃないしな。



ねーねー、行くのはいいんだけどさ、気球がないんだけどどうやって行くつもり?
……そういえばそうだったな。
歩いていける距離じゃないし、煌天破ノ都の磁軸を使うと危ないけど……。
それ以外に方法なんてないわよ。
行くんです!それでも!危ないのはクロムさんたちも同じです!
……そうだな。万が一何か起きても、俺がなんとかする。
さっすがパティ!じゃあ行こう!
……。



一回戻られたが大丈夫、もう一回だ。
あぁ、これで最後だ。
長かったわね……でも、これで……。
世界樹は世界に恩恵も災厄をももたらした。
……が、僕は世界樹があったから皆に巡り合えた、その感謝を込めて。

巨人、止まりました!
巫女が巨人に巻き込まれる前に救出する!ナノカは気球艇を動かして巫女に近づけ!
……。
ナノカ…?



















「ありがとう。 みんなが来てくれるって、信じてたよ」




















望みうる最高の結果……かぁ。
そうだな。帝国だって、本当にウロビトとイクサビトを犠牲にしたかったわけじゃなかったみたいだからな。
うわっ、お前、いつの間に。
俺が居ちゃ悪いかよ。俺は一帝国民として礼を言いに来たんだ。
帝国の暴走を止めてくれたこと、本当に感謝している。……ありがとう。
何を言っているんだお前は。僕たちだってサクヤに情報を貰わなかったら手詰まりだったんだからな。
それにまだ帝国の食糧問題は解決していないのでしょう?
ああ。それについては辺境伯……タルシスも交えて相談しようってことになった。
!それは良かったわね。辺境伯ならきっと力になってくれるわよ!
あ、それに……
それに?
ナノカ。
あ?
皇子を助けてくれて、ありがとう。



あっみんなおかえりー!報告は終わったの!?
おう!終わったぜ!
しかしまぁ色々あったものだな……。
まっさかナノカが皇子を助けに行くって言い出すなんて思わなかったよ。
うう…それは本当に申し訳ないと思って…
でも巫女も同じことをしようとしてましたし、結果的には良かったんじゃないでしょうか。
いやー僕たちが煌天破ノ都に行ったらナノカが皇子の救助してるんだから驚いたよー!
でも私たちが駆けつけていたことは無意味じゃなかった。ちゃんと助けることができたんだし。
まったく、無茶しすぎなのよ。ナノカも、クロムも。
この流れで僕の名前を出すのか。
……あの、
ん、なんだ?
前は……ばかとか嫌いとか言って……すみませんでした……。
あ、いや、謝らないでくれ。僕も悪かったんだ。仲間がいるのに頼ろうとしなかったんだ。
まったくよね。
何も言わずに戦いに行ったことも謝らないといけないと思う。本当に、ごめん。
え、あ、あの、
まぁ肝心の巨人は倒せたし私たちの里もタルシスも帝国も守られた。それでいいじゃない?
……そうだな。セリナもサクヤも、ツザンもパティも、これからもよろしく、な?





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2014.02.07.
v2_2021.04.30.