悪い予感ほど当たりがち
![]() | たーだーいーまー!心臓取ってきたぜ! |
![]() | エイゴさんちょっと落ち着いた方がいいですよ。 |
![]() | ……。 |
![]() | 腕が……腕の植物が剥がれていくわ……!すごい! |
![]() | 全て解決したみたいだな。よかったよかった。 |
![]() | そして宴……ということは!? |
![]() | イクサビトの里なんですから、あんまり騒いじゃだめですよ。 ひどいと棒杭打ち込みますからね。 |
![]() | お、おう。 |
![]() | そうね。何か一つ欠けていたら成功しなかったもの。 |
![]() | ……この件に関しては成功だが僕らの旅としては成功なのか? |
![]() | ?どういうことだ? |
![]() | 石版だ。 あれが無かったということは、僕らは世界樹に近付く手段を失ったということだ。 |
![]() | ワールウィンドさんもそう言っていましたね……。 でもまだ他に手段があるかもしれませんよ? |
![]() | でも一番有力だった方法がなくなったことに変わりないんだよな。 |
![]() | あそこの石版だけ誰かが持っているとか? |
![]() | 有り得るのはイクサビトですね。 でももしそうだとしたら、長であるキバガミさんが持っているはずですが、そのような話は聞いていませんね。 |
![]() | そういえばキバガミさんは10年前にここに人間が来たって言っていたわね。それじゃない? |
![]() | そうだとしたらタルシスにあるかもしくは……。 10年前ここに来たのが冒険者だとしたら、既にどこかに持ち去られているまでありえるぞ? |
![]() | それは無理がある。 ホムラミズチが守っていた心臓より奥にあったものを、奴を倒さずに手に入れるなんて不可能だ。 |
![]() | …………待ってくれ、私たちがホムラミズチと戦っている間に背後に回り込むことは可能じゃないか? |
![]() | でもそんなことする理由がある人なんて……。 |
![]() | ……まさかワールウィンドさん? |
![]() | そうする理由があってもおかしくない……と僕は思う。 |
![]() | ここまでの言動も込みで考えて、完全に信じるってのは難しいな。 |
![]() | ……ワールウィンドに直接聞いてみるか?答えてくれるかもわかんねえけど、先手を打つ意味で、さ。 |
![]() | それが手っ取り早いのか? |
![]() | って言ってもワールウィンドがどこにいるのかさっぱりわからねえんだがな。 |
![]() | どこに行ったのでしょう。キバガミさんに聞いてみましょうか。 |
![]() | あれ?もう帰ったのか? |
![]() | 折角の宴なのに主役の彼がいないなんて……。 |
![]() | なんだって!? |
![]() | どうやら巨人の心臓も持っていかれたそうです! |
![]() | 巫女がいなくなって巨人の心臓も無くなったら、イクサビトたちの病はどうなるんだよ! |
![]() | ……問題はそれだけじゃないかもしれない。 |
![]() | ワールウィンドさんと巫女は北の谷にいるそうです。早く行きましょう! |
![]() | あ、あれ!ワールウィンドさんの気球よ! |
![]() | 畜生!間に合わなかった! |
![]() | いや、谷は通れそうだ。追いかけるぞ! |
![]() | あれ……気球ですよね。でも見たことのない形です。 |
![]() | そもそもここにこんなたくさん気球がある方がおかしいわ! |
![]() | まさかあれがタルシスの気球艇の原型なのか……? |
![]() | やたらゴツい鎧被ってるがあれって人間だよな?何でこんなところに。 |
![]() | 僕に分かるはずがないだろ。……ワールウィンドならともかくな。 とにかくここは撤退だ。3対1じゃ勝ち目がない。 |
![]() | 戦うつもりだったんですか。 |
![]() | ひとまず辺境伯に報告しましょう。 |
![]() | この動揺っぷりよ。 |
![]() | 僕らだって初めは驚いたんだからあんまり責めるなよ。 |
![]() | そんなこと言ってないで説明するべきですよ。 |
![]() | そうね、実は……。 |
![]() | まったくこの辺境伯は話が早い。 |
![]() | で、辺境伯はあの大地に行くのか? |
![]() | どうしますか? |
![]() | 僕らが行かなくて誰が行くんだ。 だいだい僕もワールウィンドの言い分を聞かないと気が済まない。 |
![]() | でも一般人を連れていくのは抵抗があるな。 |
![]() | 命を落としたらそれまでだろう。僕らは頼まれただけだからな。 |
![]() | まさか港長も来るのか。 |
![]() | 気球が狭くなるから自分のでいけばいいのに。 |
![]() | でもこっちも人数が多い方が安心できるわよ。 |
![]() | 会見場所はここみたいね。 |
![]() | ますます何をしに来たんだこいつは。 |
![]() | 気球艇の原型らしきものを見に来たんじゃないか? |
![]() | 一応地図用の紙は持ってきましたが当然白紙です。どこへ行けばよいのでしょうか。 |
![]() | 外に居たあいつらに案内する気は無さそうだったが、当たり前か。 |
![]() | っとォ! |
![]() | あれ……ワールウィンドさんよね。あの格好、まさか。 |
![]() | 間違いない、あっち側の人間だ。 |
![]() | あっち側のお偉いさんだな。 |
![]() | 皇子ねえ。皇帝を持ってこないあたり舐められてる気分だぜ。 |
![]() | どうやら辺境伯と皇子だけで奥の部屋で対談するようですが……辺境伯一人で大丈夫でしょうか。 |
![]() | 皇子の方は武人っぽいから大丈夫なんじゃないかしら。 |
![]() | 逆にそれが危ないんじゃないか? |
![]() | 一応正式な対談みたいだからそういったことはないだろうが……。 |
![]() | そうだな。俺らは俺らでやることがある。 |
![]() | ……まずワールウィンド、お前は何者だ。 |
![]() | それって、気球艇の原型に乗っていたのがワールウィンドさんだったってこと……? |
![]() | タルシスは冒険者に協力的ですからね。潜伏するにも全く問題無かったわけですか。 |
![]() | 気球艇は帝国の技術で動いていた。だから虹翼の欠片が動力に使えることにも気づいたんだな。 |
![]() | ……その帝国ってのは、僕たちと同じ『人間』の国なんだな。 |
![]() | ウロビトの言う『巨人から逃げ出した人間』の末裔が帝国を作った。 そしてイクサビトの言う『共に戦った人間』の末裔がタルシスの人たちということですか。 |
![]() | ウロビトとイクサビトで発言が食い違っていたけど、どちらも正しかったのね。 |
![]() | ……なぁ、そういや巫女はどうなったんだ? |
![]() | 巫女が巨人の心……だって?それに帝国に巨人の心を持ち帰ることが使命って。 |
![]() | 巨人が復活しないように心と心臓と冠を分けて保管しているんじゃねえのかよ。それって、 |
![]() | 巨人が復活する可能性も当然あるってことだな。 |
![]() | ですが、巨人が復活してしまえば、呪いの被害は今の比ではなくなるのでは? |
![]() | この言い方だとワ…ローゲルさんが冠も持っているってことよね? |
![]() | 全部帝国に集まってるってことじゃねえか! |
![]() | 帝国の目的はあくまで世界樹の力を使うことだ。巨人の復活が目的なんじゃない。 |
![]() | 先ほどローゲルさんの言った『とある事故』が巨人の件ということですか。 |
![]() | ……巨人の件が本当に『事故』だったなら。 帝国が正しく世界樹の力を使えるなら、それで何の問題もない。ローゲルは正しい。 |
![]() | あれ、辺境伯? |
![]() | 一人で出てくるなんておかしいな。何があったんだ? |
![]() | 何……どういうことですか……? |
![]() | マズい、このままだと辺境伯が危険だ。 |
![]() | こんなところで人を死なせるわけにはいかねえよ! |
![]() | 何があっても止めるぞ。いいな。 |
![]() | わかってるが……あの馬鹿デカい剣は何だ?初めて見たぞ。 |
![]() | ローゲルさんが背負っていた袋に入っていたのはあれだったのかしら。 |
![]() | とりあえず防御に徹した方が良さそうですね。 |
![]() | なら僕とマリアはいつも通りでいこう。 ナノカは奴の腕を狙え。ユーリは魅了の邪眼で奴の攻撃を弱めろ。 |
![]() | ソニックレイドです!元々はソードマンのスキルのはずですが……。 |
![]() | こっちの強化の前に動かれたわね。エイゴは回復をお願い。 |
![]() | 了解! |
![]() | 腕封じには成功したからしばらく大丈夫だ。 |
![]() | 盲目も入った。黒霧が使えるようになり次第使ってくれ。 |
![]() | そうするまでもないです。ローゲルさんが引きそうです。 |
![]() | なんだって? |
![]() | さっきので全力じゃなかったのね… |
![]() | 辺境伯、何を聞いたんだ。 |
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2013.04.29.
v2_2021.04.16.