分裂
| とりあえず辺境伯の話を聞かないといけない気がするな。 | |
| ローゲルさんは共存の道を望むって言ってたわよね? | |
| そのはずだが……。 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
| 「しかし世界樹の力が発現すれば大地は浄化されるがその副作用として周囲の人間を一掃する」……ですか。 | |
| というか世界樹ってそういう用途のものだったんだな。 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
| んん〜〜〜やらかしてんな。 | |
| 気球艇が正しく使えるようになったのが物凄い発見だったんですよ。 | |
| 巨人の冠の機能を知らなかったなら仕方がない気もするなあ。 | |
| もうあっちの手に渡ってしまったんだ、どうしようもない。 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
| もし巫女を追いかけるなら、『黒き者の炎』が必要になる。 | |
| じゃあ急いで取りに行かないと! | |
| ……いや。少し話がある。 |
| 一旦ここまでの話を整理しよう。 | |
| まず……世界樹は大地の浄化のために作られたものです。 ……昔は今の世界樹の近くに多くの人間が住んでいました。 | |
| 人間は世界樹の世話をするために、ウロビトやイクサビトを作った。 | |
| しばらくの間平和な世界が続いていましたが、あるとき世界樹で事故が発生……。 おそらくこれが巨人の件と思われます。 | |
| 人間の一部は北……つまり今の帝国側へ逃げて、残った人間はウロビトやイクサビトと一緒に戦った。 | |
| この戦いで巨人を倒すことに成功したが、ウロビトと人間はお互いに縁を切った。これが『聖樹の守り」』だな。 | |
| 最終的に巨人に勝利した人間達は、巨人の心臓・心・冠を切り出してそれぞれ持ち帰りました。 そして再び平和が訪れた、ということですね。 | |
| なるほど……で、10年かそれ以上前に、タルシスの近くにローゲルが乗った気球が墜落したってことか。 | |
| おそらくそういうことだろう。 | |
| ……そういや、イクサビトの里に現れた人間って何だ? | |
| タルシスの人間でないことは間違いありませんし、おそらく帝国の人間でしょう。 ローゲルさんと同じように気球艇が墜ちてしまったとか。 | |
| 谷のあの雲の様子じゃそれも考えられるな。 | |
| 話を聞いていると……確かに帝国は世界樹の力を使うしかないのかもな。 | |
| あぁ。ウロビトもイクサビトも人間が作った存在。 帝国にとってはどうなっても関係がないからな。 | |
| でも……。帝国だけの都合で他の種族を犠牲にするなんておかしいじゃない。 | |
| 俺はマリアちゃんと同意見だ。 ウロビトもイクサビトも、ちゃんと意思の疎通だってできる。人間と何が違うんだよ? | |
| それはそうですが……。 | |
| そう言うのなら、帝国を滅ぼす覚悟があるのか? | |
| な、何言ってんだクロムさん。 | |
| 帝国からすれば世界樹の力を使うか、自分たちが滅びるか、既に二択しかない。 | |
| それは、 | |
| そうよ……私たちが帝国を止めれば帝国が滅びるしかなくなるわ。 ……世界樹の力を使っても使わなくても、ウロビト・イクサビトか帝国のどちらかが滅びるのよ。 | |
| 誰かが死ななきゃこの問題は収まらねえってのかよ! | |
| ……そうだとしたら、その『誰か』を僕たちが選ばなければならない。 | |
| それは、 | |
| 迷うくらいならこの先には来ない方がいいだろう。 ……僕は先に進む。自分たちがどうしたいのかをよく考えて行動してくれ。 | |
| その結果、私たちが対立することになっても? | |
| ……そうだな。 |
.jpg)
| ……。 | |
| これはどういうことだ。 | |
| ちょっと人員不足だったからな。良かったらしばらく一緒に探索してくれ。 | |
| いや……それは別にいいんだが。なんだこの迷宮は。 急に連れてこられたと思ったらこんな見たこともない場所を探索することになるとは。 | |
| (適当な冒険者を見繕って行動を共にする……。 まさかクロムさんがこんな大胆な行動に出るなんて……。) | |
| だーじょうぶだよパティ!楽しそうだから問題ない! | |
| えっと…この方たちは一体…? | |
| 僕?僕はツザンっていうの!よろしくね!で、こっちのでっかいのがパティ! | |
| パティじゃない、パトリオだ。 まさか未踏の迷宮に突然呼ばれるとは思っていなくて緊張しているが、よろしく。 | |
| あっよろしくお願いしますね……私も緊張しています……。 | |
| とりあえず行くぞ。さっさと黒き者の炎を見つけないとな。 | |
| もうちょっと説明があっても良くないですかクロムさん……。 |
.jpg)
| うわあぁぁ風が強いね! | |
| ……っ飛ばされそうです……! | |
| これが迷宮の名前の由来ですか。しかしこの風ではまっすぐ歩くこともできませんね。 | |
| なるべく壁伝いに歩こう。キサラは飛ばさないようパティにでも捕まっておけ。 | |
| おいお前。あと俺はパティじゃない。 |
.jpg)
| ホムラヤマネコとメタルニードルだな。どこかで見たことがある奴らの強化版といったところか。 | |
| でも後ろの奴、僕の攻撃が全然効かないんだけど! | |
| それは物理攻撃の耐性が強いので属性攻撃で。 ……と言ってもスキル構成は前から弄ってないので私が全く攻撃できないのですが。 | |
| 奴らの攻撃もかなり痛い。俺が防御陣形を使っていないとすぐ落ちそうだ。 | |
| あの蠍みたいなモンスターは石化を使ってくるのでかなり危険です…! | |
| こういう時エイゴさんがいないのが地味に痛いですね。 | |
| エイゴって誰ー? | |
| 機会があったら紹介するよ。 | |
| ……クロムさん。 あの時ははっきりと言いませんでしたが、クロムさんは、帝国を敵に回すつもりでしょう? | |
| ……。 | |
| そうじゃなきゃ今キサラさんと探索に出るなんてできませんよ。 流石のクロムさんだって、今から自分が滅ぼしてしまうかもしれない相手と一緒に行動するなんてできないはずです。 | |
| ……ユーリこそどういうつもりだ? 正直大地が浄化されようがされまいが、タルシスに大した変化はないだろう。 | |
| そうですね、正直どちらが滅んでも関係がない。だからこそ、もう少し帝国の言い分が聞きたいです。 そのためにクロムさんについて探索を続ける。そういう選択をしました。 | |
| なるほど。じゃあユーリはまだ完全に僕の味方になった訳ではないと。 | |
| どうでしょうね。もしかしたら味方かもしれませんよ? | |
| は、そうなら助かるな。間違ってもユーリは敵に回したくない。 | |
| 戦闘になったら面倒そうだから、ですかね。私もそう思いますよ。 |
.jpg)
| クロムさん、もしかしてあれが……? | |
| こんな風の中でも消えないんですか。強い炎ですね。 | |
| この火を持って帰ればいいの?早く取って帰ろう! | |
| 待てツザン!……誰か居る。 |
.jpg)
| あれは……帝国の兵士、ですか。 | |
| 敵対勢力といったところか。 | |
| それどころの関係じゃないけどな。 | |
| しかしおかしいですね……攻撃してくる気配が全くありません。 |
.jpg)
| 「木偶の文庫の周囲を帝国の気球が包囲している」……ですか。 | |
| ファレノプシスの気球で相手になるのか? | |
| ……やってみないことにはわからない。 |
.jpg)
| 貴方、どういうつもりです?ローゲルさんの差し金じゃ、 |
.jpg)
.jpg)
| !!それって、 | |
| どういうつもりかは知らないが僕たちのやることは一つだ。 もう火は入手できたんだ、帰ろう。 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
| 受理は当然、だな。 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
| 助けてくれるのですか。嬉しいですね。 |
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
.jpg)
| ここからは僕とユーリ、キサラで行く。 パティ、ツザン。ここまで助かった、りがとう。 | |
| ちょっと待てクロム。あんなところに付き合わせておいて説明の一つもなしか? | |
| ……説明した方がいいみたいですよ。 | |
| ……わかった。頼んだ、ユーリ。 | |
| 実はですね…………。 |
| ……ということだ。これ以上関わりたくないなら離脱して構わない。 | |
| なるほど、そんなことが起きているのか。……薄々状況は読めていたがな。 | |
| わ、私はクロムさんについていきますよ……! | |
| うーん僕もできれば一緒に帝国を止めたいんだけど……パティはどうするの? | |
| ツザンが行きたいなら俺も行くが。 | |
| やったぁ!じゃあ行こう! | |
| ……あれ? | |
| まぁ良かったじゃないですか。さすがに2人だと辛いところでしたよ。 | |
| いやそれはそうなんだが…そんな簡単に決めてしまってよかったのか? | |
| 僕はこの街が好きだしね!ウロビトもイクサビトも居てのタルシスだと思うもん! | |
| そう言ってもらえるとすごく嬉しいです……ありがとう。 | |
| キサラさんは言わずもがな、でしょうしね。 | |
| そうか……いや、ありがたいよ。皆、しばらく僕に付き合ってくれ。 | |
| 了解だ。 | |
| もちろん! | |
| はい! |
| おい……聞いたか今の。 | |
| 私たちがこうもグダグダ悩んでいる間にもクロムさん達は進んでしまうな。 | |
| ……どうすればいいのよ。 | |
| まぁまぁ、それはさておき私は気球がもっと高く飛べるっていうのが気になるんだ。ちょっと飛んでこないか? | |
| ……そうね、気分転換程度に。 |
.jpg)
| おお!これはすげーぞタルシスが超ちっちゃいな! | |
| なんとも子供みたいな感想だな。 | |
| 半端じゃない感動してる!このまま他の大地にも行ってみようぜ! |
.jpg)
.jpg)
| ……。 | |
| 上から見る景色はやっぱり違うな。綺麗だ。 | |
| でもさ、帝国が世界樹を使ったらこれも見れなくなるんだろうな。 | |
| ……そうだな。 | |
| 私、やっぱり守れるものならウロビトもイクサビトも守りたい……。 | |
| 俺だってそう思ってる……だからって帝国を犠牲にするのも嫌だ。 | |
| ……気づいたんだが、タルシスはどちらに転がっても影響がないんだよな? | |
| ウロビトとイクサビトが犠牲になるか、帝国が滅びるか……そうね。 | |
| じゃあ最悪みんなでタルシスに移住でもすればいいんじゃないか? 帝国だって住んでいるのは同じ人間なんだ。タルシスに来ればいい。 | |
| ……なるほどな?いやそれが出来りゃ苦労しねえっつか。一回話し合ってあの有様だったんだろ。 | |
| ……私たちじゃ説得できないかしら? | |
| 少なくともやってみる価値はあると思う。エイゴはどうだ? | |
| 2人が行くってんなら俺も行くぜ。うまくいくかは置いといて、その結末が理想だからな。 | |
| ……そうね、頑張ってみましょう。ナノカ、エイゴ、ありがとう。 | |
| ってなると、クロムたちより先に帝国に接触しなきゃなんねえな。 | |
| じゃあ私たちは私たちで行くしかないわ。3人だけどね。 | |
| う、うわぁ……今までにない過酷な迷宮探索になりそうだ。 |
←BACK! ALL NEXT!→
2013.05.06.
v2_2021.04.17.